円安が進行する今、海外就職を考える…より豊かな生活を送るには?

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短期間で急激な円安が進み、日本の経済に大きく影響が出始めました。
また、日本は長らく給与が上がらず、円安によってさらに国民生活が苦しくなる懸念も。
いっそ海外で就職し、暮らすという選択は、生活を豊かにできる方法の1つかもしれません。
そこで、今回の円安の原因と見通し、海外就職をおこなうポイントを詳しく解説します。

≪目次≫

コロナ…ロシア…海外情勢により加速する円安

2022年に入り、急激に円安が進む理由

2022年に入り、円安の進行が止まりません。

特に、5月下旬から6月の米ドル円相場は、1ドル120円台から130円台にまで急激に下落。抑制の見込みがつかない状況です。

円安が進んでいる背景には、以下の2つが挙げられます。

①新型コロナウイルスとロシアのウクライナ侵攻による影響

まず、2019年末に発生した新型コロナウイルスの影響が、円安進行のきっかけになったといえるでしょう。
最初に感染が広まった中国の輸出品生産減、輸出停止は、世界中でモノの供給を停滞させ、物価が上がる傾向に。

さらに、ロシアのウクライナ侵攻勃発が追い打ちをかけます。
ロシアは、小麦などの穀物・木材・エネルギーを世界に輸出している輸出大国です。
欧米各国は、ロシアへの経済制裁のため、輸入をストップする方針を打ち出しました。
ロシアからの輸入品に依存している国は多く、物価が一気に高騰。世界中にインフレの波が押し寄せてきたのです。

輸入依存度が高い日本は、食品の自給率が先進国の中で最低です。
主要食材の小麦や大豆などはほとんどが輸入頼り。
その他にも、木材の約6割、エネルギー資源に至っては約9割を輸入しています。

需要に対する輸入品の供給不足が、輸入コストを大きく跳ね上げました。
輸入産業が低迷の状態となり、貿易収支も赤字に転落。
支払いのために円を売り、外貨を買う状況が続いていることが、円安の一因となっています。

※グラフは財務相貿易統計のデータを基に作成

②アメリカの金融政策による影響

アメリカはこのインフレを抑えるために、金融の引き締めをはじめました。
金利引き上げに舵を切ったことで、現在、円を売ってドルを買った方が有益な状況になっています。

一方の日本は、景気が回復していないことから、企業の借り入れ、住宅ローンなどの超低金利政策を継続。
日銀の腰は重く、金融緩和は今後も続く見込みです。

このように、アメリカと日本の金融政策が大きく異なっていることから、急激な円安が進んでいるのです。

日本の円安化のスピードを抑えるには、アメリカとの金利格差への対応がポイントといえるでしょう。

※グラフはGoogle Financeのデータを基に作成

出典:
財務省貿易統計
Google Finance

参考:
農林水産省/知ってる?日本の食料事情 2022

農林水産省 林野庁/「令和2年木材需給表」の公表について

経済産業省 資源エネルギー庁/日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」

外国為替の状況

アメリカや主要ヨーロッパ各国の現在の為替レートは以下となります。
※2022年5月16日と同6月15日のレートを比較

アメリカだけに限らず、多方面で円安が進んでいる状況といえるでしょう。

円安はどのようなことに影響するか

円安はメリットとデメリットが混在します。

日本の物が安くたくさん売れるようになるため、輸出業には好材料となり、メリットになるといえます。

しかし、輸入品は価格が高騰するため、輸入業にはデメリットが大きくのしかかります。

また、円安はモノの値上げが続く要因となります。
日本は給与が上がらない状況が長く続いており、物価の上昇は、国民生活を苦しめる一方です。

現在の円安は、日本在住者にとって、メリットよりもデメリットが上回るといえるでしょう。

円安はいつまで続く?

では、円安はいつまで続くのでしょうか?

それは、世界情勢と日本の金融政策次第といえます。

ロシアのウクライナ侵攻は、停戦の気配がなく、ロシアに対する経済制裁が長期化しています。
収束までにはかなりの時間を要する状況といえるでしょう。

また、日銀の黒田総裁は、急激な円安への懸念は示しつつも、「円安はプラス」「物価高はエネルギー価格の上昇にけん引されたもので、持続的ではない」との考えです。

日本がすぐに金融引き締めへと転換することは考えられづらく、アメリカとの金利格差は、一層広がっていくかもしれません。

円安の今こそ海外就職がおすすめ

給与水準が高いヨーロッパ

世界における給与平均の上位は、軒並みヨーロッパの国が占めることをご存知でしょうか?

※グラフはOECDデータより出典

国連(国際連合)幸福度ランキングも上位はヨーロッパ各国が並びます。

日本はGDP※は高いものの、幸福度は54位(2022年発表)とかなり低い結果に。
日本国民は、自身のことで精一杯で、他者への寛容さがないということが、この結果につながっています。

※グラフはWorld Happiness Report 2022より出典

収入は当然のことながら、心も豊かに暮らしていきたいものです。
幸福度が高い、豊かに暮らせる国への移住を検討してみるのもありといえるでしょう。

※GDP(国内総生産)…一定期間内に国内で生産されたモノやサービスの付加価値の合計。日本国民が国内生産活動をおこない、産出した付加価値の総額を意味する。

出典:
OECDデータ/平均賃金(2020年)

World Happiness Report 2022

現地企業での就職がおすすめ

海外で長く暮らすためには、永住権や長期就労ビザの取得が必要になります。

いずれも簡単に取得できるものではありませんが、長期就労ビザを取得し、現地企業に就職するのが近道でしょう。
現地企業での就業は、現地の給与水準、物価水準に対応した額の給与が支給されるため、生活に困らないことが大きなメリットです。

海外赴任での就業は要注意

海外での長期居住をかなえるものとして、国内企業の海外支社やグループ現地法人への海外赴任が挙げられます。
転勤という形での就労ビザは比較的取得しやすいのが特徴です。

しかし、一点注意したいことが、給与の支払い部分です。
給与払いは以下いずれかの方法を取る企業が多い傾向です。

・購買力補償方式
物価の違いや為替変動に対応し、日本での生活と変わらない生活水準が維持できるように調整した給与が支払われます。
海外での生活に適応できる給与が支払われるため、安定した給与の支給方法といえます。
ただし、現地の物価が高騰すると、比例して労務コストも高騰。企業が耐えられず、海外から撤退するというおそれがあります。

・併用方式
こちらは、円建てにより、日本の相場の給与が支払われる方法です。
日本における給与が外貨で支給されるだけなので、円安になった場合は、現地の物価に対応しきれず、生活が困窮するおそれがあります。

海外赴任の場合、以上のリスクが考えられます。
確実に現地で長く暮らすためには、現地企業への就職が推奨されるでしょう。

海外就職を成功させるポイント

言語スキルの習得

海外就職を成功させるには、就労ビザの要件をクリアするということが最大のポイントです。

1つめのポイントとして、言語スキルが挙げられます。

海外で生活するためには、最低限、その国の母国語や公用語の日常会話ができないと、困難を極めることになります。
また、言語スキルを就労ビザの要件としている国もあり、基準を満たさなければならないケースも。

渡航したい国の言語スキル習得は必須といえるでしょう。

業務スキルをアップさせる

2つめのポイントとして、業務スキルが挙げられます。

長期の就労ビザは、その国が定める特定の職業や業務スキルを満たさなければ取得できないケースがほとんどです。
また、大卒以上の学歴を必須とする場合があります。

特に欧米はその基準が厳しく、専門性が高い、または高度な業務スキルを持つ人材でなければ認められないということも。
言語スキルの他に、業務スキルも磨いておく必要があります。

参考:米国の就労ビザ(US Travel Docs ※日本サイト)

学び直しで世界で稼げる人材に

日本の円安に対する政策が進まない今、日本での生活はさらに苦しくなることが想像に難くありません。
海外就職をし、海外で暮らすことを選択するのは当然の流れといってもよいでしょう。
世界で活躍し、稼げる人材になることは、推奨されるべきことです。

しかし、海外で長く生活するには、まず、就労ビザの取得という問題が立ちはだかります。
言語スキルと専門的かつ高度なスキルを習得することが前提です。

現在、「リカレント教育」と呼ばれる社会人の学び直しが、国内外で推進されています。
海外での就職を検討される方は、ぜひリカレント教育で、必要なスキルを学んでみてください。

参考: BrushUP学び/リカレント教育とは?事例や必要性、メリット、現状の課題を解説!

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