50歳で社会保険労務士資格を取得 ! ! 『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』著者スペシャルインタビュー(後編)

地味な資格で稼いでく
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現在、社労士として第一線で活躍する著者に聞く!「資格取得で人生を挽回したストーリー」

佐藤敦規さん

「中高年になってから資格を取っても難しいのでは?!」と言う声が多くありますが、実際はどうなのでしょうか。 現在、話題の本『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』の著者であり、自らも50歳で一念発起して資格を取得し、現在は社会保険労務士として第一線で活躍されている佐藤敦規さんにお話をうかがいました(後編)。>>>前編はこちら

社会保険労務士の仕事の難しさとやりがい

実際に資格を取られて社労士としてスタートされたわけですが、仕事をされてみて思っていたイメージと違う事はありましたか?

資格をとっても…、AIにとって代わられる…?、
アナログな部分はまだまだ多い!これは変わらないのでは

佐藤敦規氏:それは非常にありますね。一つは仕事の内容です。始める前は書類を作っていくだけの地味なルーチンワークのイメージがあったのですが、これが実際やってみると、申請書など書類にしても行政の窓口によって対応が違うのです。書類の中で申請理由とか書く部分など、行政の窓口担当者によって見方が変わったりしますし、内容に具体性を求められたり指摘されたりします。例えば助成金の申請にしても、ある担当官だったら良いとされるのが別の担当官ならダメになったりするケースがあるんです。書類の作成、申請と言うルーチンワークに見える仕事でも奥が深く思ったより大変だとは言うのが本当の所です。  
色々なところで「いまさら資格を取っても、そういうのはAIに取って代わられるから、社労士や行政書士なんかに仕事をお願いする人は減るんじゃないか」というような話を耳にしますし、実は私も最初そう思うこともあったのですが、実際にやってみると申請から承認されるまでには、人によるアナログな部分がまだまだ多い。これは変わらないんじゃないかと思います。今は一回で申請は通るようになりましたけど。最初の頃は何回か役所に足を運んだこともありますね。

そしてもう一つは社労士の顧客となる経営者の方です。特に中小零細のオーナー企業の場合、働く社員の労働に関して問題意識を持った方はまだまだ少ないのが実情です。厳しい言い方ですが正直言って9割以上が問題意識が少ない古いタイプの経営者だと思います。以前は、「労働基準監督署に指摘されなきゃいい」といった考えの方や、「残業代を払わなくてすむ方法」などの法律の抜け道の相談をされる方もいましたし。
しかし現在は働く側の労働者の知識も高まっていますし、SNSなどで悪い噂やイメージがついてしまう危険性もあり、極端なことを言う経営者は減ってきています。

佐藤さんは現在の事務所でかなり売上げを上げていると伺っています。そのような経営者に対しての営業面で大事なことは何だと思われますか?また、サラリーマン時代と比べて、社労士という仕事をどのように感じていますか?

社労士の仕事は顧客と関係が近いから成果が見えやすく、やりがいがあります

佐藤敦規氏:法人向けの営業活動、顧客企業の獲得で重要なのは『如何に経営者に寄り添えるか』という事だと思います。中小のオーナー社長は癖のある個性的な方が多いので、そこにどう合わせていくかがポイントなんですね。例えばメールより電話や対面を好む方が多かったり、そこに合わせていくことが必要ですし、即断即決のタイプの方も多いので、資料作成に時間をかけるより簡単なもので即断即決に持っていくなどしています。

また気が早い人も多く、時間外に携帯電話をいきなりかけてきて長話とか(笑)。最初は「時間外に長電話って」と思いましたけど、実はそれで信用をいただけたりするんです。経営者の方もなかなか相談する相手が居ない場合があるので、そこにうまく対応することが大事。実際の経験で学んだことも多いですね。

さらにオーナー企業の場合、経営者の知りあいの社長さんの紹介など、思ったより出できます。よく法人営業は大変だと言いますが、最初に数社ぐらいお客さんの信頼を得ると、それぞれの会社がまた紹介をしてくれたりするので、あとはだんだん積み重なっていく感じです。現在は顧問契約20社、その他10社で約30社の企業を担当するまでになりました。
サラリーマン、特に大手に勤めている方だとなかなか自分の仕事の成果が見えにくいですが、社労士の仕事は顧客と関係が近いから成果が見えやすいですし、やりがいがありますね。

社労士に興味があり、やってみたいと考えている中高年の方に

現在、中高年サラリーマンは色々な面で厳しい状況に置かれています。そんな中、佐藤さんのように社労士の資格を取って、やってみたいと思っている方も多いようです。そんな方々に何かアドバイスがあれば?

自分を信じてやってみたいことに是非トライしてもらいたい

佐藤敦規氏:そうですね。周りの同世代の中高年を見てますと確かに『閉塞感がある』というのは感じますし事実だと思います。一つコロナの騒動が起こる前から、企業がIT化やAIの活用などで中高年の存在意義が問われたり、それから結構『ハラスメント』というのが大きいのではないでしょうか。パワハラ、セクハラ、50代ぐらいの昭和の感覚の人って色んな面で非常に肩身の狭い思いをしてるんじゃないかと思いますね。もちろん一部先頭を走っているような方はそうでもないでしょうけど、それ以外の大半の人は先行きに不安を感じている方は多いと思います。今の仕事に対しても色んな面でやりづらいなと感じている人は多いと思います。かなり大手の会社でも早期退職が始まっていますし。

社労士についてですが、まず士業の中でも仕事の範囲が広いです。税理士とかは企業に対してやることが割とカチッと決まっていますけど、最初にもお話ししたように働き方改革の推進によって、社労士の仕事は多岐に渡り、その需要は益々高まってくると思います。

そして経営者、特に中小企業の経営者は高齢の方も多い。だから社労士は年齢行ってからもチャンスは有るんじゃないかなと思うんです。総務や人事の仕事をしてこなかった人でも、前職の経験を活かして活躍している先生もいます。

そして会社勤めされているサラリーマンの方で、今の仕事がうまく行かなくても全てが駄目だと思う必要は無いんじゃないかと思います。スポーツでも球技などのチームプレーが駄目だった人も個人プレーは行ける人もいる。
士業に限らず、独立、開業はそれぞれ厳しい面はあるとは思いますが、サラリーマンで駄目だから他の方面で駄目だというわけではない。私が良い見本です。

別の道に進むには勇気がいります
ですが、自分を信じてやってみたいことに是非トライしてもらいたいと思います。
できれば、資格試験は一回で合格で(笑)

>>>前編はこちら

注1 . 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を是正する「同一労働同一賃金」制度は2021年4月から中小企業でも法律の趣旨に則った運用が開始される。
注2 .平成19年、年金手帳などに記載されている基礎年金番号に統合されていない持ち主不明の年金記録約5,095万件の存在が明らかになり社会問題化。
注3. 社労士試験の平均合格率は5%前後とも言われる。ちなみに2020年は6.4%

佐藤敦規氏


佐藤敦規氏
社会保険労務士。中央大学文学部卒。印刷業界などを中心に転職を繰り返し窓際族同然の扱いに嫌気がさし、50歳手前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。社労士として新規顧客100社を開拓し、現在は約30社の顧問契約に携わり第一線で活躍中。各種セミナー講師、「週刊現代」「マネー現代」「THE21」などの週刊誌やWebメディアの記事も執筆している。

▼著書紹介
『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』

(クロスメディア・パブリッシング・3刷)Amazonベストセラー

実際にダメサラリーマンから50歳で一念発起して社労士の資格を取得、転職、独立を経て、平穏で充実した生活を手に入れた著者が、資格をとって人生を挽回するための秘訣を公開する。

【取材後記】
社労士として第一線で活躍し、現在の事務所で多い時は月1000万を売り上げる佐藤さん。長く働いた印刷業界の会社を辞める際は、周りや家族に反対されたと言います。さらに三度の社労士試験を落ちても尚挑戦したのは、その方向で頑張りたい、自分を変えたいという強い気持ちと行動があったからだと思いました。

この記事を取材・執筆したのは、特別編集員:松本克彦

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