企業にも個人にも「存在価値」が問われる!Withコロナ時代の転職

Withコロナ時代の転職
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前回の当所長のコラムでは「コロナ禍の大量リストラ!ビジネスマンが生き残るためにすべきこと」と題し、「雇用を維持できない段階まで企業の経営状況が悪化している現状、そしてその状況下で個人として何をすべきか」について解説しました。そして、今回は簡単には収束しそうにないコロナ禍の転職について考えていきます。

コロナ禍の就転職事情はこれまでとは違う様相に

12月に入り世の中は年末モードへ。例年であれば常套句のような言葉も今年ばかりはそうも言っていられなさそうだ。
通年12月は賞与を受け取って「転職」をする絶好のタイミングと言われている。求人数も1年の中でトップを争うほどににぎやかな時期だ。ところが今年はどうやら様子が違うようだ。
コロナ禍における就職転職事情はこれまでとは違う様相を見せている。

今回は転職、採用の事情について取り上げてみる。まずは現在の企業の景況を見てみよう。

雇用助成金や持続化給付金という国の金融施策に頼っている企業が半分以上

Q.新型コロナウイルスの発生は、企業活動に影響を及ぼしていますか?
A.「影響が継続している」74.0%(1万 1,076社中、8,200社)。
規模別では、大企業で83.6%(1,818社中、1,520社)、中小企業は 72.1%(9,258社中、6,680社)だった。「影響はない」は大企業で2.0%(37社)、中小企業で3.4%(319社)。

Q.新型コロナウイルスに関連した、国や自治体、金融機関の各種支援策は利用しましたか?
A.新型コロナに関連した資金繰り支援策の利用状況を聞いたところ、「利用した」と回答した 企業は56.2%(1万757社中、6,049社)だった。 前回調査より2.9ポイント増加した。また、「今後利用する可能性がある」は8.6% (925社)で、合計64.8%の企業が利用について言及している。
規模別では、大企業の「利用した」は31.1% (1,745社中、543社)なのに対し、中小企業は 61.1%(9,012社中、5,506社)に達した。前回調査では、それぞれ28.9%、57.9%だった。

Q.どんな支援策を利用しましたか? (複数回答)
A.最も多かったのは、「雇用調整助成金」の50.1%(3,016社) だった。以下、「持続化給付金」の49.2%(2,963社)、「民間金融機関の実質無利子・無担保融資(信用保証付き)」が48.2%(2,903社)と続く。
政府系、民間金融機関の融資が企業の資金繰りを支えている状況が改めて浮き彫りになった。
家賃支援給付金」は18.5% (1,114社)で、前回調査より 2.6ポイント利用率が増加した。

第10回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査(東京商工リサーチより)

これらのことから分かるのは「飲食・旅行・宿泊業界はもちろんその他の業界にまでコロナウィルスの影響は大きく出ている」ということだ。

特に資金に余裕がない企業が増えており、雇用助成金や持続化給付金という国の金融施策に頼っている企業が半分以上存在しているのが現状なのである。

中でも雇用助成金の活用が多いという現実は、社員を雇用し続けるだけの体力がなくなっている企業が急増している証であろう。本来であれば社員は「人材」という財産であるが、現状は多くの企業で「コスト」になっているようである。

それを反映するかのように、完全失業率は3.1倍、有効求人倍率は1.04倍と好転することはない(10月実績)。

何らかの特性がなければ希望する職種への転職はかなり厳しい

いくつかの大手企業では年齢を問わない「早期退職募集」を行い、副業許可やシェアワークの実施など人件費の削減に躍起だ。当然のように、そのような企業の動きに敏感に反応する人たちがいる。
そのような人たちが今転職市場に溢れつつある。彼らは今の会社に不安を抱き、安定を求めて異業種に職場を求めている。

しかし、現実は甘くはない。新規求人数は前年同月比で23.3%減っている。何らかの特性がなければ希望する職種への転職はかなり厳しいのが実情である。

もう一点気になるアンケートがある。働き方に対する企業側の考え方だ。

Q.貴社では、「新型コロナウイルス」の感染拡大を防ぐため、在宅勤務・リモートワークを実施していますか?
A.在宅勤務を「現在、実施している」は、30.7%(1万1,076社中、3,405社)、「実施したが現在は 取りやめた」は25.4%(2,820社)
規模別では、大企業の57.4%(1,818社中、1,044 社)が「現在、実施している」と回答したのに対し、 中小企業は25.5%(9,258社中、2,361社)と半数以下にとどまり、規模格差が際立った。

第10回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査(東京商工リサーチより)

コロナ禍において在宅勤務のメリットを享受していた人たちが「出社せよ」という指示をきっかけに転職を決意した例を見るが、実際には在宅勤務を取りやめる企業が増加している。
特に大手企業から中小企業への転職では元々在宅勤務を実施していないところも多いので期待外れになる可能性は高い。企業側の採用意欲は以前ほど高くなく、即戦力もしくは専門領域の知識やスキルが高く、新規事業を任せることができるような人材を求めている。

これから就労を希望する人たちは現在の状況をしっかりと把握した上で転職活動をするべきだ。

自分の価値やスキルを冷静に見つめ直し、外の社会に通用するものなのかを改めて考えて欲しい。
「そこまでの自信はない」と思うのであれば、自信が持てるようなスキルや知識を身につける努力をするか、今の会社にとどまる事をお勧めする。

コロナ禍は簡単には収まりそうにない、社会の構造変化に個人も対応しなければいけない時代だ。 Withコロナ時代は企業にも個人にも「存在価値」が問われる時代になりそうだ。

学ぶ働く研究所所長


学ぶ働く研究所 所長 鈴木みのる
<プロフィール>
1988年立教大学を卒業後、株式会社リクルート映像(現・株式会社リクルート)に入社。1993年同社を退社し、その年に有限会社トータルマーケティングネットワーク(現・株式会社ドゥプランニング 人材紹介事業)を設立。スクール情報誌「マイレッスン」創刊プロジェクトに参加し、その後雑誌広告代理を中心に活動する。
1998年、有限会社パセリコーポレーション(現・株式会社パセリ)を設立。「BrushUP学び」などWebコンテンツの企画運営を開始する。その後、当サイトの運営会社株式会社パセリホールディングスをはじめ、グループ各社を設立、またM&Aによりグループ会社化する。

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