アンケート結果報告!新型コロナウイルスが働き方・学び方に与えた影響

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BrushUP学びで資料請求をした方257名に緊急アンケート。
新型コロナウイルスの影響で働き方や学び意識に変化はありましたか?

今回は、さらに!立教大学経済学部教授で労使関係論、女性労働論を専攻されている首藤若菜教授にアンケート結果の分析を依頼。新型コロナウイルスによる経済活動の縮小が、雇用・就労環境にどのような影響を与えているのかについてもご意見をいただきました。

※BrushUP学びで2020年4月24日~5月6日までに講座の資料請求をした方257名のアンケート結果

回答者の属性

今回、回答を得られた257名の職業内訳は、会社員が36%、パート・アルバイト22.4%、契約・派遣社員9.7%、自営業が5.2%、その他となっています。年代は、40代が最も多く28.2%、30代 19.8%、50代 18.5%と続いています。

首藤教授総務庁『労働力調査』によれば、女性就労者のうち93.8%が雇用者、自営業者が3.3%であり、女性雇用者の45.5%が正規雇用、52.4%が非正規雇用である。(資料請求者属性で8割近くが女性ということを加味すれば)平均値と比べると、自営業者比率、正社員比率(資料請求者属性の「会社員」という回答を正社員と想定した場合)が平均よりも若干高い。これらの労働者に、とくに資格取得のニーズが高いためだと予想される。

64%が 「 働き方に変化があった」と回答

▼設問:新型コロナウイルスの影響で働き方に変化はありましたか?
回答者257名のうち、「新型コロナウイルスの影響で働き方に変化があった」と回答しているのは64%でした。そのうち45名は 「仕事が減り働く日数、時間数が減った」 、さらに53名は「休業状態でほぼ働けなくなった」と回答しています。この53名の中には失業や倒産したという回答も含まれています。

正規雇用の変動幅は小、非正規では職種により二極化?

首藤教授:新型コロナウイルスのような急激な経済環境の変化が雇用に与える影響は、就労形態、雇用形態によって大きく異なるが、本アンケートの結果からもその傾向は明瞭に示されている。表①によれば「休業状態でほぼ働けなくなった(失業した、倒産した)」との回答は、自営業で最も高く、次いでパート・アルバイトにおいて高い。「仕事が減り働く日数、時間が減った」と回答する者も、両者において高く、それに契約・派遣社員が続く。他方で、パート・アルバイト、契約・派遣社員のうち3割は「変わらない(テレワーク時差通勤不可な職種)」と回答しており、産業や職種により状況が違っており、同一の雇用形態のなかでもコロナの影響は二極化している可能性を指摘できる。 「会社員」と回答した者を「正規雇用されている者」と解釈した場合、正社員の雇用環境は「変わらない」が最も多く3割を超えており、次に「毎日ではないがテレワークが増えた」が高くなっている。「休業状態」や「仕事が減り…」の回答はあわせて2割程を占めているものの、他の形態の働き方と比較すると、雇用環境の変動幅は明らかに小さいことが分かる。

表①

コロナの影響1

「新型コロナウイルスの影響で資料請求をした」と回答したのは26%

▼設問:今回の資料請求は新型コロナウイルスの影響を理由したものですか?
一方26%(67名)の方が今回資料請求した理由が「新型コロナウイルスの影響によるもの」と回答しています。67名のうち、56名は働き方に変化があったと回答した方々です。

▼具体的な理由
・解雇された
・会社が倒産した
・仕事のシフトが減り、転職を考えたため
・非正規のため終息まで自宅待機になったため
・現職が不安定、夫婦ともに同業のため
・自宅待機になったのでその間に興味のあることを勉強したいと思った
・副業を検討し国家資格を取得したいと思った
・以前から興味があり、時間ができた今勉強するにはちょうど良いと思った
・パートがなくなり時間もできたのでスキルアップしたい
・現職に余裕ができ、転職に向けて資格を取得したいと思った

緊急事態宣言も一部地域では解除されはじめていますが、これからは「Withコロナ」の時代とも言われ、以前のような生活に戻るのではなく、新たな生活スタイルの確立が求められています。そんな中、資料請求した方々はいつから、どのような学び方でスタートしたいと考えているのでしょうか。

45.5%が「直ぐに」もしくは「1か月以内」にスタートしたいと回答

▼設問:受講開始時期はいつ頃を予定していますか?
「社会状況が落ち着いたら(8.1%)」「気になって資料を取り寄せただけ(13.6%)」という方も合わせて20%ほどいますが、「直ぐに」という方が32.8%と最も多く、ついで「1か月以内」が12.7%でした。

資格の取得が就業に結びつくことが肝要

首藤教授:コロナ禍であることが影響しているのかどうかは、平常時のデータと比較しなければ分からないが、表②によれば「直ぐに」「1か月以内」と回答している人の4人に1人が「休業状態…」との答えており、「仕事が減り…」とあわせると、2人に1人にのぼる。受講開始は「6か月以内」もしくはそれ以上でよいと考えている人よりも、「直ぐに」「1か月以内」と答えている人は、明らかに雇用状況が悪化している様子がうかがわれる。今日、資格取得を検討している方の背景を考慮するならば、資格の取得が就業に結びつくことが肝要となろう。例えば、不況期においても人手不足が続いている職種では、資格取得の効果が短期のうちにあらわれやすい。

表②

通信、オンライン講座での学びを希望する方が多数

▼設問:あなたはどんな学び方を希望しますか?
複数回答をしている方も含め、調査対象257名のうち213名は「通信講座」と回答。次いで多いのが「オンライン講座」。いずれも自宅での学びを希望していることがわかります。

オンラインは若いほど選好、50代以降で減少

首藤教授:希望する学び方は「通信(69.2%複数回答)」が最も多く、次いで「オンライン(44.8%)」となっているが、 表③で年代別にみると、高年齢層ではオンラインよりも通信や通学の割合が高まる。「オンライン」は年代が若いほど選好する割合が高まり、とくに50代以降で希望者が減少することが分かる。

「学ぶにあたって不安なことは?」という設問に対し以下のような回答が得られたことからも、学び方選択の理由がわかります。

▼学ぶにあたって不安なことは?
・公共交通手段を使っての移動や対面授業での感染
・スクール内の感染予防対策
・事態の急変などによる休校

首藤教授:「学ぶにあたっての不安」の自由回答欄では、通信やオンラインについては不安が少ないのに対し、通学に関する不安が突出して大きい。開校されるのか、教室での感染症対策がどうなっているのか、移動の際の感染リスク、現在の仕事との両立などの声が共通して聞かれる。これらの懸念を払しょくするためにも、通信やオンラインでの受講を広げていくことが求められるが、他方で本来は通学を希望しながらも、それらの懸念から通信でやむを得ないと考えている人も一定数いる点には留意する必要がある。十分な感染症対策がなされたうえで通学し学びたいとの声は決して少なくない。 また、実習先の受け入れ状況や試験実施の有無、試験の際の移動の不安なども不安材料となっている。これらについては社会的な解決が求められる。

切実な状況から資格取得を目指す60代

首藤教授:「通学」は、とくに60代において希望者が多い(表③)。60代は、アンケート回答者数が少ないためバイアスがかかっている可能性があるが、「直ぐに」受講を始めたいと希望する比率が突出して多く(表⑥)、また「休業状態…」、「仕事が減り…」との回答が他の年齢層よりも高いことが特徴的である(表⑤)。切実な状況から資格取得を目指している様子がうかがえるが、この年代ではオンラインでの受講を希望する割合が下がるため、受講方法が早急に受講を開始するうえでの障壁となっている可能性もある。

コロナの影響6

取得したい資格、身につけたいスキルは介護・心理・医療系

今回、アンケートに回答してくれた方々が資料請求した上位10講座(資格)が以下の通りです。

介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級) 28名
心理カウンセラー 22名
登録販売者 19 名
実務者研修(介護福祉士養成) 16 名
保育士 10 名
食育 7 名
調剤事務 7 名
簿記 7 名
キャリアコンサルタント 6 名
ガイドヘルパー(移動介護従事者) 5 名
ベビーシッター 5 名
医療事務 5 名
精神保健福祉士 5 名

今回のアンケートを総括して・・・

首藤教授:新型コロナウイルスによる経済活動の縮小が、雇用・就労環境にいかなる影響を与えているのかは、政府統計による算定と公表には一定の時間を要するため、まだはっきりとは見えてきていない。そのなか、限られたデータであるものの、本アンケートの結果は一つの参考値になると言えよう。
本データからは、新型コロナウイルスの影響により、就労や雇用環境が変動した人々が資格取得を検討し、実際に行動に移していることが読み取れる。冒頭で触れた通り、今日、女性雇用者の半数以上が非正規雇用として働いており、女性の雇用・労働環境は男性よりも不安定であることを特徴とする。しかし、自らの収入により生計を維持している女性は増加しており、より安定した雇用やより高い賃金を受け取ることを望む人は少なくない。資格取得は、その望みを叶える一つの選択肢となりうる。そうした人々の努力が、正当に評価され、雇用や賃金に反映されていくことを切に願う。

首藤若菜教授(しゅとう・わかな)
<プロフィール>
立教大学経済学部教授。労使関係論、女性労働論専攻。日本女子大学大学院人間生活学研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)。主著に『物流危機は終わらない:暮らしを支える労働のゆくえ』(岩波新著2018 年)、『グローバル化のなかの労使関係:自動車産業の国際的再編への戦略』(ミネルヴァ書房2017 年)、『統合される男女の職場』(勁草書房2003 年)など。

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